考えるヒント 退屈してる?すぐ大学へ戻ろう   

私は65歳で、国立の北陸先端科学技術大学院大学(Jaist)の知識科学研究科の博士課程に入った。そして68歳で博士号を取得した。そこでの体験だ。

Jaistは、東京の品川駅の真ん前のインターシティのビルに、東京キャンパスを持っている。社会人や私のような高齢再修学希望者からみると、非常に便利な場所だ。Jaistは大学院大学だが、理系も文系も入学が可能だ。

 Jaist特有のこともある程度有るかもしれないが、先生の指導が昔より極めて丁寧で、分かりやすく、腰が低くなっているということだった。50年前の大学の先生がたとは、大きなムードの違いを感じた。優しいし、丁寧だ。さらに資料も昔と違って、黒板だけでなく、配布資料、ネット、パワーポイント、そして参考図書と、これほど違うものかといつも感動していた。多分、先生も大学も昔より競争が厳しいのではないか。

 昔の大学のイメージを持っている方は、誰もきっと今の大学では驚くし、感銘を受けるにちがいない。その中だから、もっと勉強をする気持ちになる。私の記憶では、関心を持てなかった昔の大学の講義では、とにかく多くの先生の講義は眠かった。眠気との闘いだった。ところが、今回Jaistでは、居眠りをしなかったのだ。

2011年から博士号取得2014年までの3年9カ月、ゼミの指導教官を含めて、私が博士号取得でお世話になった先生方は、6名いた!

 一人の先生は、夜中2時半まで私の論文でスカイプとメールでやり取りして、「その資料は大学の研究室にあるから、今から取りに行ってくる」と言われて、仰天した。朝の3時に、訂正部分をメールして、眠りについたら、朝の5時に再訂正が入っていて感動した。

 別の外部の先生では、元旦に、山梨県の大月の先生の家にお伺いして、懇切丁寧な指導を受けた。

 博論の審査が迫ったGW連休の直前に、指導教官に、私の博論(英語で約235頁)を送ったら、先生、GWを全部私の博論を読破するのに費やして、GWの最後の日は、先生から送られてきた訂正と質問の山だった。

 昔に、こんな指導を受けていたら、私だって、もっとやる気を起こしていたに違いないと思った。

 今、仕事が定年に迎えている人、あるいは定年の明かりが小さくトンネルの向こうに見えてきている人は、自分のせっかくの能力を、このまま墓場まで持っていくのはやめよう。大学や大学院に戻ると良い。大学で、現在の先生たち、学生たちと触れ合うことがどんなに日本を刺激するか。昔と違い、あなたの好きな分野、あるいは昔から学んでみたかった分野を挑戦してはどうか?

 65歳からの大学院生活は、すごく楽しかったし、充実していた。大学院に通いながら自分の仕事もしていた。学割生活が懐かしい。北陸先端科学技術大学院大学は、北陸の白山の麓にある大学院大学だが、東京の品川に社会人キャンパスを持っている。

現在の学生たちと先生方にも、早期高齢者の大学生としての復帰は大きな刺激になる。そのあと、機会をみて大学やその他の学校で若者たち、子どもたちに教えて欲しい。今の高齢者は、みんな偉大な経験をしてきたのに、それを畳の埃、ベッドの皺にしては、本当にもったいない。それがコロナ後の新しい日常の一つだ。

 私はJaistの社会人のコースで博士課程を取ったが、博士課程でも、7科目(それぞれ15時間)の履修の義務があった。私は始まる前に、3つの誓いを立てた。

一つ、すべての授業を最前列の真ん中で受けること。これは一回だけマズったが、他はすべて最前列の真ん中を確保できた。そのためには、やはり授業の始まる20分ほど前に学校に行っている必要があった。

二つ、すべての授業で、先生が「はい、ここまでで質問は?」と言われると、「ハイ」と間を置かず手を挙げることにした。これはかなりハードだった。先生の話を聞いている時に、質問を創り上げて、質問は?と来ると、さっと手を挙げた。これはクラスで波紋を生じた。他の学生たちは私より若いが、みんな通常の日本の大学生と同じで、「質問は?」と来ても一切、質問しない「恥ずかしや日本人」をやっているのだ。たとえ質問を持っていてもしないのは学生の罪だ。

 私はこれに真正面から石を投げた。わたしより若いが年配の社会人学生一人が私に対抗して手を挙げ始めた。すると、クラスの学生たちが動揺した。たちまち、他の学生たちに感染したのだ。クラスは質問の波に変った。先生の顔はうれしさで溢れた人が多かった。質問するということは、より深く理解することにつながった。

 時間内に話が終わらなくなってしまったことが多かったが、それでも充実感を感じた。授業料を取り戻した感じがした。数週間後は、そのクラスは、手を挙げるひとで一杯となった。

三つ、ほとんどの授業で、毎回、レポート提出の宿題が出た。メール添付で提出。便利な世の中だ。私はそれを次の日の昼までに絶対に提出するということにした。これは他の人には関係が無かったが、私のストレスを大きく下げた。大成功だった。そのために徹夜しても、死にはしなかった。

考えるヒント

(1)昔の大学の専攻の分野が現在どのように発展しているかをチェックしてみよう。

(2)昔の大学で別の専攻を取っていたらと考えて、それを学び直してはどうか?

(3)まったく今まで考えたこともない分野で学び直したいものはあるか?

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