気楽に、楽しく、少しずつ文を書くこと、エッセイをお薦めする。
文を書くことは、自分の心の落ち着きと充実感を得る小さいが最良の方法だ。シルバー・アイデアマラソンでは、思いついた発想をノートに書きとめるようにアドバイスしたが、エッセイは、まずエッセイのネタを発想扱いで、ノートに書きとめよう。
エッセイは、おおよそすべての文の出発点となることができる。エッセイはその容量も、内容も、作風も自由だ。違うのは、エッセイの場合、読者が必要だということ。本人しか見ない日記と違うのはこの点だ。
私は自分のエッセイは体験エッセイとして書いてきた。最初に書いたエッセイは商社の海外駐在員として、西アフリカ、ナイジェリアのラゴスに赴任していた時に、ヨルバ族の酋長に就任したことがある。日本人では初めてだった。
その体験記を書いて、会社の広報誌に掲載された時、当時の同僚たちが「面白い」と笑ってくれたことがきっかけだった。その後、新聞社から定期的なエッセイの執筆を頼まれて、毎週エッセイを書くことになった。
そうなると、エッセイのネタを探して、ノートに書いて、ためておく必要が出た。
それ以来、私はサウジアラビア駐在に転勤した後も、「リンチに遭ったり」「交通事故で拘置所に入った」「紅海までの旅」「砂漠を楽しむこと」などを、エッセイに書き続けた。
私のエッセイは、まず家族に見せる。当初第一読者であるヨメサンは一字一句厳しいコメントをくれていたが、私は我慢して書き続けた。もっと優しいヨメサンなら、誉めながら私はもっともっと書き続けたと思うが。亭主だけに厳しいヨメサンだから仕方がない。
息子たちが大きくなるにつれて、息子たちが第一読者になった。そして、エッセイはどんどん加速した。エッセイは、私の海外での駐在していた国のこと、これらの国々で体験したこと、日本人家族の海外駐在のこと、海外での危機管理のこと、家庭教育のことなどに拡がり、アイデアマラソンのノウハウの説明に及んだ。
エッセイは、自分の好きなように、書き始めてみよう。誰もが考えると、思い出すととっておきの珍妙な話、びっくりした話、不思議な体験を持っている。その場ですぐに思い出せなくても、思い出そうとしていれば、ふっと浮かぶことがあり、そのチャンスを失わないように、ハッシとつかんで、ノートに書いておくとよい。
まずは自分の書いたエッセイを、家族に見せ、友人に見せることが良いだろう。そして限定したSNSやブログで発表することも良い経験になる。ネットに啓上する時は、くれぐれも他人の悪口、伝言の伝言のような不確かな話などは避けることが必要だ。
良いコメントを受けたエッセイは、人生の充実感を与えてくれる。そのようなエッセイを集めて、キンドルで出版することも可能だ。そうなるとそれを読んだ人たちが友人として増える。これは人生の宝物になる。
私のエッセイのサイズは、一行35字で35行のA4用紙に1枚半の分量を最良としている。
考えるヒント 自分の体験から、「面白」「不思議体験」「驚いたこと」などをじっくりと考えて、ノートに発想として書きとめよう。