創造心理学とアイデアマラソン 1 はじめに(なぜ創造性は心理学の一分野になっていないか)

個人にはもちろん、企業にとっても、社会にとっても、国家にとっても、創造性は極めて重要な要因だ。現在の日本経済の退潮衰退傾向の理由の一つは、私達日本人、日本の企業の創造性が低下したためかもしれない。ところが、肝心の創造性とは一体何かというのが分かっていない。

創造性に関心をもっている100名に創造性の定義を問うと、100の異なった答えが返ってくるという。さらに創造性というのは、それ自身が、あまりに多種多数の要因を含んでいて、定義することが難しかった。発想数、独創性、柔軟性などから始まって、ユーモアや、様々な感情なども、創造性に含められることがある。 

要するにどれも定性的であり、多すぎる変数の多次元方程式のようで解を得ることができなかった。科学技術だけでなく、美術芸術や、劇、映画、文学などでも創造性が必要なことは容易に分かると思う。「創造性は、何かの役にたつ人間の思い」と私がすらりと書いても、反論は山ほどでてくる。そのために、創造性は今まで心理学の中に一分野を確立できなかった。さまざまな人の思いの要因を定量的に分析比較できなかったことも創造性心理学が確立しなかった理由だろう。

しかし、創造性は、人の心理から出てくるものであるということに全面的に反対はないだろう。心理学に属することは理解できるはずだ。AIを備えたロボットが創造的であるとは、未だ言わない。

本書では、違った局面から、創造性を心理学の1分野として扱ってみたい。それにはアイデアマラソンという尺を使っていこうと思っている。創造性の定義で地団太を踏んでいるよりも、アイデアマラソンの活用を通じて、創造性の中身を少しでも、少しずつでも、客観性を持たせて、誰もが創造性の重要性を理解して、創造性を高めるために個人が集中思考し、その個人の集中思考を集団に固めて、素晴らしい社会や世界を創りたいと思っている。

私は極めて実用性を重要視する人間である。アイデアマラソンを実行することで、間違いなく個人と集団の創造性が高まると確信している。アイデアマラソンを使って、個人と集団がどのように発想を出すかを考えていきたい。

創造心理学とは、人の創造性を高めるにはどうすれば良いかを研究する心理学である。創造性は、発明や発見などを含め、環境問題の解決や飢餓対策など、人類全体に関係している。毎日のより良い工夫や幸せな生活にもつながっている。全世界の重要課題でありながら、その学問的位置づけができていない。本書にて創造心理学の構想を提案し、具体的対処の方策としてアイデアマラソンを提案したい。

35年前に小生が開発したアイデアマラソン発想法(通称アイデアマラソン)を日本全国に広げることである。幼稚園、小学校、大学、研究所、企業にて実施してきた中で、アイデアマラソンは、すべての世代にも、そしてその世代のすべての人々の創造性を大きく向上させることを信じて、実証試験を20年以上続け、その効果を見てきた結果、全国レベルに拡げる時期が来たと確信するに至った。

現在の日本は、過去25年間諸外国と比べれば創造性は相対的に大きく低下したとされ、現実にスマホ、パソコンなどを見ても、日本製品の姿は、市場から消えてしまった。日本の得意とするテレビも中韓製になり、デジカメもファックスも、スマホとインターネットに潰されてしまった。クオーツ時計も、スマートウォッチに変わるだろう。輸出産業の完成品では、トヨタの車1社が気炎を吐いているが、これも電気自動車、自動運転車によるMaaSの時代に今のようにダントツで生き延びられるかどうかは分からない。

日本は、創造性の向上を緊急火急の課題としているが、その方法は、様々で、終始一貫していない。それどころか、ほとんど手がつけられていないのが現状だ。日本国内には、創造性に関して悲観的な見方がどんどん広がりつつある。一方で日本国民の大多数は、「誰かがやるだろう」との安逸な夢を持っている。

製造業やサービス産業の創造性はいかにすれば高めることができるだろうか?また、新規のビジネスの起業を倍増させるにはどうすればよいか?日本独自の新しい文化は作り続けることができるだろうか?誰も確たる方向性を示していない。客観的な方法を提示していない。すべてのビジネスマン、研究者、学生、園児に、数十年間以上の使用に耐え、これらのすべての世代に創造性の自信を与え、未来を光らせる方法はあるか?そのための一貫性を持ち、ユニバーサルな発想法はどうすれば開発できるのだろうか?これらの研究が私のライフワークであった。

働き方改革で、創造性がどのように変わるのだろうか?現在のままでは、個人の創造性とは次元も方向性も異なっているので、創造性が向上するようにはとても見えない。

大学も、古いカリキュラムに簡単な手直しをしている程度では、とても創造的な学生を育てているようには見えない。中学と高校に至って一部の進学コース以外は、少子化によって大学への入学は極端に簡単になり、勉強不足が、創造性の基礎を大きく崩しつつある。

このような状態をあと、数十年続ければ、日本は戦後蓄えた国力と財力と知力を、高齢者介護と福祉、毎年全国で発生する各種大型災害対策と救済費、戦後の各種のインフラの老化の修繕費、安易に提供してきた海外諸国への支援による疲弊で、どんどん使い果たして、国も国土も国民も衰弱していくことになる。戦後一時期の英国を思い出す。当時は英国経済はガタガタで、本当に暗かった。日本も上記の財力の劣化が一定のところまで行けば、必ず過剰な国債に頼った日本の経済が国際的に集中砲火を浴びることになり、海外資本の逃避が始まるかもしれない。

各世代に応じたアイデアマラソンを活用すれば、日本の創造性は回復し、向上することを信じて、この本を出版することにした。

小生はすでに74歳であり、時間がどんどん経っていく。現状の創造性の混乱からの産業文化の低迷を看過できない。日本国民であると同時に、地球人であることから、このアイデアマラソンをまずは日本語で執筆し、次に英語にて出版することを計画している。創造性の必要レベルは地球サイズなのだから。

アイデアマラソンを広範囲に開始するとして、その個人的効果は3か月、グループの効果は半年、そして社会全体の効果が出るには4年はかかるだろう。

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