考えるヒント 大きなカフェにて

山手線の駅の1つの近くにある大きなカフェだった。

私はそのカフェが好きだった。そのカフェには、様々な人たちが集まってくる。ビジネスマンや大学生は、パソコンを覗いている。若い女性はスマホを触っている。本を読んでいる人、話している女性たちと、雑然としている中で、私は頭をひねくり返して発想を出す。もう40年来やってきた私の思考法だ。

私が座っているのは、横に並んだ4人掛けで、他に誰もいなかった。いや、もう一人いるはずで、マックのノートパソコンが開かれ、椅子には大きな防水鞄、多分自転車用だろう。1時間前に、私がこのカフェに来た時から、私の左隣の席は、ノートパソコンと鞄が置かれたままだった。

まだ席に戻ってこないが、きっとこのカフェの別の席にいて、自分の鞄は、ちゃんと見ているのだろう。それにしても不用心だ。私は発想を出して書き、それを繰り返して、予定の50個の内、40個を書き終えた時、2時間を過ぎていた。

まだ隣は帰ってこない。

私は心配し始めた。もうすぐ私は今日の発想数の50個を考え書き終わることになる。そして、夕食で家に戻る予定だが、一体隣の客はどうしたのだろうか。カフェから誘拐されたかな?それにしても不用心だ。私がここに座っているから、誰かが鞄を持ち去ろうとしたら、「このかばんはあなたの持ち物か?」と尋ねてみるが、私が帰った後で、誰かがこのかばんやパソコンを持ち去ってしまったら、どうなる。
「私の鞄を誰かが盗んだ!」となる。と誰かが、
「そういえば、若干怪しいチョビ髭を生やした高齢者が重そうな鞄を持っていた」と言うかもしれない。そうなると、私は容疑者候補になってしまうではないか。

英国のロンドン大学で講義をする前に、ゆっくりと時間が有ったのでトイレに行って個室に入った。パソコンやノートの入ったショルダーバッグの持ち込んでいる。用が終わって、外に出て、ふっと横を見ると、黒人の若者が背を低くして、私のカバンに手を伸ばしていた。ほんの5秒も目を離しただけで、その男は私のカバンを置き引きしようとしていた。
「それは私のだ!」と声を出すと、手をひっこめて出て行った。油断も隙もありゃしない。

日本じゃ、こんなに平和なのか。
(あーあ、この席に座ったために…)と、イライラし始めた。すでに2時間半近くになって、サラリとした顔で隣の客が戻ってきた。

私の目つきはもっと厳しかっただろうが、
「あなたは3時間もどこへ行っていたのですか、自分の荷物をほったらかしにして。不用心ですよ」
「はあ、2時間ほどでしょう?」
「こんなことをヨーロッパでやったら、5分でも鞄やパソコンは消えてしまいますよ」
「そ、そうですね。すみません」
「私に謝ることはないのですが、とにかく喫茶店でも、どこでも鞄は目を外したらいけませんよ。私なんか、トイレ行く時ですら、鞄をまとめてトイレに持ち込むのですから」
「分かりました。注意します」とその学生はぺこりとした。分かっているのかなあ。
一度痛い目にあって、初めて理解するのだろうな。私は夕食の帰途についた。

今週の考えるヒントは、
(1)過去に物を盗られた経験があるなら、忘れないように書いておこう。
(2)自分の鞄を絶対に盗まれないようにする工夫を考える。鞄にハイテクの防犯を
付けるなど。

アイデアマラソンはいかがですか?いよいよ、ノートの数が499冊に入ります。今の進み方では、2020年の1月に500冊になり、それから2か月で、50万個の発想を書き上げることになる。今は、毎日、発想を50個、そしてパソコンで、キンドルブックの入力をA4の1枚半を集中して書くことにしている。

近況をお知らせください。

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