考えるヒント Toge or Not Toge

イソップの話の中に、足に棘が刺さったライオンが、羊飼いのところに来て、棘を

抜いてもらい、ずっと後にその羊飼いが王様に捉えられて、罰としてライオンとの格

闘を命じられる。そのライオンが、昔棘を抜いて助けたライオンで、闘うどころか、

羊飼いをぺろぺろ舐めた。王様は感動して、羊飼いとライオンを釈放したという話

だ。

 南アフリカには、実際に和名「ライオン殺し」という植物がいる。その逆向いた棘

一杯の植物をライオンが踏むと、足に棘が刺さり、その棘が抜けなく、だんだん奥に

入っていく。ライオンは口でそれを外そうとしたら、今度は舌や口に棘が刺さり、痛

みに悶え苦しみ、ついには死んでしまうという恐ろしさだ。

Wikipediaのライオン殺し

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AD%E3%82%B7

2週間前に、外出していた時に、私は左足の中指の後方3センチ柔らかい丘のところ

に小さな痛みを感じた。こっそりと靴を脱ぎ、靴下を脱いで左足の下を覗いたが何も

ない。ヨガの行者が、足の裏を覗くような姿だった。コロナ対策の殺菌綿で足の裏の

丘をごしごししたら、何となく楽になった。しかし、歩いていると、ときどき痛みに

似た感覚がある。

「弱った」

家まで帰って、スタンドの光の下で注視したが、やはり何もない。やってみれば分か

るが、足の裏は非常に見にくい。顔接近もできない。

痛いほどではないので、「まあいいか」と思った後も、小さくズキンとすることがあ

り、Something is not right.(どこかおかしい)と最近は、英語が先に出てく

る。

 卑屈に「済まないが、足の裏の棘を探してもらえないか」とヨメサンに尋ねた。

「汚い足の裏を観るのは嫌」予想通り、この一言だけだった。

 何となく、棘の刺さったライオンさんの気持ちになって、1週間後、近所の大きな

病院の皮膚科に出かけた。足の裏は、家で出発前にしっかりと磨いて、石けんで

洗った。しっかりとした女医さんに、足の裏を見せたが、表面には何もない。

「じゃ、エコーを取りましょう」とのことで、超音波診断室へ行った。またまた女医

さんが、ベッドの端に座った私がヨガのように片足を持ち上げている姿で、左足を自

分で押さえつけているところを、先生がゼリーを塗ったエコーの探査ペンで、棘の探

索が始まった。

「ここが表皮でしょう。2ミリほど下に血管が、ほらこの色の付いているのが血

液」と、占い師が手相を見る如く、左足の先っちょを撫でたが、見つからない。「無

いですね。どこにも、それらしいものが…」と、30分以上も粘って、左足をペンで撫

でまわした。左足を持っている手が疲れて、「もう諦めます」と私自身が言おうとし

たとき、「これかな…」と、先生がつぶやいた。それを倍率を上げて、ゆっくりと探

査ペンを動かすと、たしかに表皮から1ミリほど奥に、2ミリほどのごく細い異物が白

く斜めに光った。

「ほら、これは不自然でしょう。こんなに斜めに。ここからここまで」との詳細説明

を受けた。

「なるほど」

もう少しで血管に刺さる直前だった。何度も、何度も、その部分を探査して、「多

分、これですね」と、マーカーで印をつけて、エコーの写真データを皮膚科に転送。

 皮膚科に戻ると、「見つかったようですね。では、ベッドにうつ伏せになってくだ

さい。ちょっとチクンとしますよ」で、ほんの数分。手際の良いこと。

「みつかりましたよ。こんなに小さい。何でしょうか」とピンセットの先に2ミリほ

どのガラス繊維のような破片が見えた。

「やったー」との達成感。

 これを放置しておくと、血管まで到達して、炎症を起こしたり、破傷風を起こすこ

ともある。棘の一部が血管の中を流れることはあるのだろうか?棘だって、大変なこ

とだ。Toge or not Toge, that is the question.だ。エコーの無かった昔なら、痛みのある辺りを切り、虫メガネで探したのではないだろうか。もっと大昔なら、1ミリの棘を探し得なくて、塗り薬やまじないで済ませたかもしれない。そして、その部分が化膿して足全体が腫れ上がることにもなったかもしれない。うつ伏せていたので、分からないが、先生は手術用の拡大鏡を付けていたのか、確かめるのを忘れた。

あとは殺菌して、バンドエイドでお終い。1ミリていどの棘は、超音波エコーの

拡大に次ぐ拡大で、画面上では1センチていどに白く見えていた。昔なら、この1ミリ

の棘(いかにも痛そうな漢字ではないか)を抱え込むと、まともに歩けなくなってし

まう。人間の体の微妙なところだ。

 先端の科学技術、先生の忍耐と技術、そしてたかが2ミリでも大病院の皮膚科を訪

問した私の決断英断の組み合わせだった。

「家で、スリッパ履いていないのですか」と先生に言われた。それ以来、今もスリッ

パを履いている。足の痛みは消えた。

 

考えるヒント 自分の体のどこでも、これは何かな?と思うような軽い問題現象がな

いかを考えてみよう。その部位の専門の先生はどこか?

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