考えるヒント 明日の日記

 今、私が“はまっている”のは、明日の日記を書くことだ。

ややこしいことに、明日の終わりには、明日の日記と明後日の日記も書く。

明日の日記は、いつものアイデアマラソンのノートに、発想の一つとして扱っている。A5のノートの頁の中央に縦線を引き、左側半分に“今日書く明日の日記”を書く。

 初めの数日間は、とまどっていたが、今は、朝一番か、その日の夜に、昨日書いた今日の日記の右半分に書き入れるのが楽しみになってきた。

 これを私はTTDと名付けた。Today & Tomorrow Diaryの略である。まだ、そんなに長くないが、明日のことを今日、考えることで、「ああ、明日は、~をしなければいけないな」とか、「明日は思い切って、~をしよう」などと、年とともに忘れがちな予定を、今日中に記憶を復活させることができる効果があると、思い始めた。だから(案外、このTTDは面白い)と感じ始めている。

 朝、起きてノートを見たら、(昨日の日記を書き、明日の日記を書かなければ)となる。昨日の日記は実は一昨日に書かれたものだ。

 アイデアマラソンでは、最近、一日に3個程度を書いてはどうでしょうかと、講演では話している。その内の1個は日記、1個は明日の予定、そしてもう1個は何かの発想の記録だ。だから明日の日記は発想2つ分になる。今日と明日を重視して、一歩一歩進むには、ちょうど良い。

アイデアマラソンの大学での講義や、社会人の講演で、「この中で日記を書いている人」と尋ねると50人に一人程度だ。それくらい、日記は継続することが簡単ではない。

 小学校から中学校にかけて、私は何度か日記を書こうとした。その都度、3日くらいで挫折していた。

単純に書くのを忘れてしまうのだ。おまけに日記は机の中にしまっているものだ。机の上に置いていると、家の人に読まれてしまって恥ずかしい。だから、机の引き出しに入れて、そのまま忘れてしまったり、せっかくやる気になったら、引き出しの鍵が無いという最悪の状況に陥ったこともあった。

書こうとしても、昨日何をしたか“何も”思い出せなかって、嫌になり、自分の頭が悪いのだと、強い挫折感を味わい、夕食に食べたものだけを書いて、スペースを埋められず、情けない空白紙面の日記になり、更に数日書き忘れたら、余計にだれにも見せられなくなる酷い日記となり、机の奥にいれてしまって、監禁状態になり、完全な停止状態になり、日記の「に」の字も考えたくなくなってしまった。

アイデアマラソンでは、発想を思いついたらすぐに書き留めるということを推進してきたが、すぐに書かないと、忘れてしまうということで、大学院時代に調べたら、忘却曲線を考えた人がいた。ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスである。彼は意味を持たないスペルの単語を時間とともにどれだけ忘れていくかを研究したのであるが、

1時間後 56%

1日後  74%

1週間後 77%

1か月後 79%

と、見事な曲線を描いているが、1度覚えた“意味のない”内容を1日後に、26%も覚えているはずがないと確信している。彼の実験は面白い発想であるが、目的に合わせてこじつけたと思っている。

 1時間後 90%

 1日後  99%

 1週間後 100%

それ以上無し。というのが本当のところだろう。

その日記嫌いだった私が、アイデアマラソンで、日記を発想扱いした途端に、すらりと簡単に取り入れて、意外にももう数十年以上、日記が続いている。それは、いつもノートを持ち歩いているからだ。それと日記に明確な使途が付いていたこともある。

現役の営業の時、毎週、交通費の清算をしていたが、営業で外回りをして、顧客へ行ってた時には、そのルートを書きこんでいたので、交通費精算は簡単だった。

当時から、私の日記は、いくつかの符丁を使っていた“タに〇”を付けるとタクシーの意味であったり、“チに〇”で地下鉄だった。重要顧客もいくつかは暗号化していた。万一ノートを忘れたりすると、とんでもないことになるからだ。

退職した今は、飲んだ日と飲まなかった日を AAは飲んだ日、NAは飲まなかった日としている。

考えるヒント 自分の暗号を作ってみよう。日記に書いた自分の暗号が解けないとこれは問題だ。

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