考えるヒント ほんの小さな思いから

36年前まで、私は毎日、思ったことを書き続けるなんて、とてもできないと思っていた。

ある日、サウジアラビアの電力庁の次官の待合室で待たされていた時に、大きな水槽に、テラピアが泳いでいて、底から時々思い出したように、空気ポンプが泡を吹きだしていた。

(パイプが詰まっているんだ)と、ふっと思いついたのが、泡の数で時間を示せないかということだった。3つなら、3時。10個なら10時(数えるのに難しい!)

 水槽の泡の数から、時計が作れる。もっと粘性の高い液体の中なら、ゆっくりと時間が昇っていくこともできると思った。

(これは、面白いな。書いておこう)と、まず水槽の絵を描いた。これが私の今50万個に及ぶアイデアマラソンの発想第一号だった。水槽の泡で時計となることは、言わなければ誰も時計と思わない。

(秘密の時計が作れるな)というのをたまたま持っていたアメリカ製の赤い表紙のノートに書き留めている。1984年1月24日だった。それから私は、次の日もお客のところで待たされるとそのノートを取りだして、書き留め始めた。1週間続き、2週間続いたが、それが30年以上続けられるとは、とても思っていなかった。人間の発想には限りがあると思っていた。

 数年、アイデアマラソンを続けていたら、もう完全に、発想は∞だと確信した。それから夢中になって、ノートに書き留め始めた。仕事でも、生活でも、家族でも。自分の脳の中で発生する発想をすぐにノートに書きとめる。これだけを毎日実行し始めた。発想は泡だ。シャボン玉だ。すぐに消える。

 このエッセイを読んだ記念に1冊のノートを持ちなさい。あるいは、まだほとんど新しいルーズリーフのノートがあるなら、それにボールペンを1本差し込んで外に出よう。公園で、喫茶店で、駅のホームで、考えてみよう。「何か思いつけ」と脳に指示を与えよう。それだけで良い。脳は音も立てずに思考して、「こんなのどうだ」と見せてくれるから。これを続けていれば、あなたは自分の発想力に驚くだろう。

私たちの脳は考えると何かの結論をひねり出す。それをサッサとノートに書きとめるのだ。これを続ければ良い。毎日の発想があなたを進化させる。アイデアマラソンは、これだけのことだ。仕事に限定しないで良い。色々なことから、色々なことを思い始める。あなたの目は、周りを探り始める。

アイデアマラソンは、若者だけでなく、年寄りでも、だれでもやる気があればできる。そして同じようにたくさんの発想をノートに書きとめることができる。だけど、若者は、若ければ若いほど、その発想を実現する時間があるのだ。これは圧倒的に強い。

たった一つの弊害は、あなたの視線が細く、鋭くなり、目つきが悪くなるだけだ。

考えるヒント

(1)隠れた、自分だけが分かる秘密の時計を考えてみよう。

(2)(私のように)ノートを持って、思考の旅に出るとすれば、どこに行きたいか?

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