考えるヒント 殺気 2 家庭内特訓は続く

殺気は、日本の侍の独特の感覚で、欧米には、直観と表現されている。日本文化なのかもしれない。起源を調べていないが、中国から来たのかもしれない。殺気は、欧米人にとって、極めてミステリアスで、面白い課題となる。殺気はもっと詳しく研究を続ける必要がある。

息子たち3人は、一つの部屋に3つの机を並べて、一緒に勉強していた。

子ども部屋でのルールは、たった一つで、ドアを開けたままにしておくことだった。どうしてドアを開けていなければいけないのかと、ルールを決めた本人の私も覚えていないし、分からない。

 ドアからベランダのガラス戸までの細長で四角い子供部屋は、長男がガラス戸を背に、一番奥にこちらの入口ドアに向かって座り、二男は入口ドアを背に、入口入ったところに座り、三男は、入口入ったところに横の壁向けに座っていた。

 樋口家には独特の家庭内の課税システムがあった。

家族内の共有財産の貯金箱(プラスチックのゴジラ)を持って、子どもたちのところに行って、

「えー、樋口家の税務署です。先ほど、お渡ししました今月のお小遣いの分の税金をいただきにまいりました」と、三男にゴジラを見せると、三男はいつも一番少ないお小遣い1500円の中から、200円ほど、にこにこ笑いながら、ゴジラに入れる。

「ありがとうございます。はい、次」と苦渋の顔をする二男、長男と払った小遣いから税金を徴収することになっていた。

「えー、次に、机の上に放置されている小銭は没収します」と、子どもたちの机の上を調べて、小銭があると、「ありがとうございます」とゴジラに入れることになっていた。

「わー、500円玉見っけ!」と長男の机の上。

「そんな無慈悲な!勘弁してください」と私の腕にしがみつく(ことはなかったが)長男。

 と、こんな苛斂誅求を伝統的に続けて、家庭内で御上の課税システムに慣れる訓練をしてきた。そして共有財産を増やしていた。

子供部屋の配置

 私は書斎で仕事をしていて眠くなっても、眠気を飛ばすために、子どもたちのところに行って、あることないことを話して、お邪魔虫をする。

 ある日、子供部屋の開いているドアから、3人の兄弟が一心に勉強しているのが見えた。ドアは全開。そこでドアから忍び足で入っていった。

 三男は、横向き、長男は、こちらを向いていたのですぐに私を見たが、黙っている(ということは黙認)。そして二男はベランダに向かって座っているので、私の侵入をしらない。

 そして、突然、回し蹴りで、大声とともに二男の顔面の前に私の臭い足をガバッと見せた。二男は仰天(そらそうだ)。そして、私は凱旋した。二男に触れてはいない。多少臭い足を目の前に突然突き付けられた二男は、こうしてトレーニングしてきた。

 毎回二男で申し訳なかったが、2回目も成功した。ところが、3回目は無かった。ほんの少しでも足音を立てたら、もちろんアウト。忍び込みに細心の注意をして、静かに入って、長男と三男が私に黙認で積極的に強力しても、ベランダ側のガラスに私の姿が映ると、アウト。

 それ以外に、部屋の空気に何かの変化が起こると、二男はさっと私の方を振り返ることになった。一度なんか、襲った私を直前に、二男が「わー」と振り向き、私を仰天させた。つまり殺気を感じ始めたのだった。

 音も立てない、ベランダガラスはカーテン。それでも二男に急襲は掛けられなくなった。

 殺気の訓練、殺気のために、息をこらすのも、訓練だった。私が息子たちに殺気を訓練したのは、社会に出た時に、殺気の練習は生き抜くためにも、役に立つことがあると信じているからである。

考えるヒント 

(1)見えない路地の角で、向こう側に人がいるかを総合的瞬間的にスキャンしてみよう。

(2)見た夢で覚えているものを書き留めよう

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