考えるヒント 殺気 3 戸外での迷子トレと応用  

もう亡くなったが、友人Mは、剣道7段の保持者で、8段の昇段試験を何度か受けた。

Mが話していたのは、8段の試験で必要な要件は、相手を倒すことではなく、気迫であった。昇段試験の1回目を通過した時、本当にうれしそうだった。

 相手と竹刀の先を向けあって、気迫を見せることで判定されると聞かされた。剣道であるから元々の実戦は気迫よりも、殺気だったのかもしれない。その時に、Mと酒を飲みながら話していたが、気迫を測定する機械を開発してはどうかと、発想を出し、アイデアマラソンのノートに書きとめている。

 気迫を測定できれば、殺気を測定することと同じではないか。電波や紫外線のように、見えない殺気を測定できれば、「危機予知」として使えると思う。声や、視線や動きも全部、気迫に入るだろう。指の動きや全身の筋肉の動きなども大切な要因になるだろう。

(1)実戦訓練

 私の子どもたちに、悪い人が出す殺気を1秒でも早く察知したり、微妙な状況を回避することで、大きな危険を回避したり、最悪命が助かるかもしれないと、私は殺気の訓練をしてきた。

 キャンプをした時、夜には子どもたちに肝試しをプレゼントした。大人が脅かす側に回ったりして臨場感を出す。肝試しも、初めはおどおどするが、数回行うと、かなり落ち着いてくる。

 野外での訓練の極め付きは、迷子シミュレーションである。家族で旅行していて、街中を一緒に歩いている時、長男が、気分が良くランラランと一人で先を歩くようになった時、他の家族全員が途中の小道にさっと隠れる。そのタイミングは絶妙。

 全員が建物の角から「いつ気づくかな」と、顔々の端だけ出して興味津々覗く。長男は、ランラランと鼻歌で歩いて、ふっと気づく。すっと後ろを見て、誰もいないことを知った時、その驚愕の顔はものすごい。

 半泣きの形相で走って戻ってくる。にこにこしながら観劇していた親を見て「ひどい、ひどい」と涙を飛ばして怒っていた。

 それから数年後、ほとぼりも醒めたかと、もう一度、シミュレーションをおこなった。今度はスペインのバルセロナの市内だった。さっと私たち家族一味が隠れた後、隅から覗いていたのは同じだったが、周りに誰もいないと気付いた長男は、今度は、一直線に前方に走り出した。

 慌てたのは私だ。(こりゃ、いかん)と長男を追いかけた。長男は遠く走って、全速力で角を左に曲がった。(おおい、待てー)と言いながら、追いかけてその角を曲がったら、長男がアッカンベーをしていた。訓練が行き届いていることが確認できた。

(2)会社での危機予知の応用

 私が通信会社に出向して営業の部長をしていた時、毎年入社してくる新人を連れて大切なお客にあいさつ回りをしていた。その日も、私は新人のH君と二人で新神奈川のお客に向かった。

 田町から京浜東北線に乗って、二人並んで座ったが、品川を越えたら、もうH君は、すやすやと寝てしまった。新人の同期の飲み会が続いていたのだろう。車内は座席はほぼ全員が座っている。品川の次の大井町で、私はH君を起こさないように慎重に立ち上がり、隣の車両に移った。私の座っていた左側の席には叔母さんが座った。H君はまだ寝ていた。

 私はどこで気がつくかなと隣の車両のドア越しに見ていて、川崎駅に着き、ドアが閉まりかけた時、H君は、私の座っていた左側の膝を見て、おばさんの膝!そしたら今度は右を見て知らないおじさん。H君は飛び上がって、閉まりつつある扉にダッシュしたが、Too late。扉はしまってしまった。

 その時のH君の顔は仁王さまだった。(薬が効きすぎた)と慌てて、連結のドアを開けて、「H君、悪かった。悪かった。コーヒーごちそうするからね」

「ぶ、部長、何ということを…」私の歪んだいたずら本性を知って、絶句していた。

 いまだにH君はその時の恐怖を忘れてはいないだろう。社会に出たら油断してはならない。

考えるヒント

(1)いままでやったいたずらを思い出せ。あとになって大笑いのもの

(2)いままで酷い目にあったいたずらはあるか?

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