考えるヒント アイデアマラソン哲学 8-2 創造的関心分野の課題

創造的関心分野(CREATIVE INTEREST:CI)とは、イェール大学のフェインシュタイン教授の造った言葉で、自分の人生を通して、創造的な関心と研究心を持ち続ける分野のことである。

たとえば、トーマス・エジソンの場合、子供の時、鉄道車内でお菓子や弁当の販売のアルバイトをしていた。その時、すでに電信の将来を見通して、彼の創造的関心事CIの対象にしていた。

彼はまったく電信の技術も知識もなかったが、駅長に懸命に頼み込み、特別に教えてもらった。たちまち、電信のオペレーターの達人になり、更にまだ黎明期だった電信の技術を改良し始めた。電信を使った投票の表示装置や、株価の表示装置を発明し、その発明を売り込んで資金を得て、自分の研究所を造った。

グラハム・ベルが電話機を発明した時、彼は大きな屈辱を感じた。電話機は電信線に音声を載せる装置であり、まさに彼のCIに抵触するものだったからだ。

そのためにエジソンは1年半ほど数百もの電話のデザインを考え続けて、独自の技術を発明し、その技術をグラハム・ベルに売却して無念を晴らした。音に関しては蓄音機の発明が偉大であった。

このように電信は彼の最初のCIであったが、彼の関心は電信を動かす電気に拡がった。

更にニューヨーク全体に配電する発電所と送電網を建設した。ただ、彼は遠くまで送電するのが難しく、変電も難しい直流を使おうとしたことから、交流を発明したテスラーには勝てなかった。長寿の電球の発明は電気分野での彼の発明の賜物である。発電機、変電器、配電、電気のメーターなど、電気の黎明期で多数の発明をしている。

ここにエジソンのCIの広がりの特徴がある。電信→電気と広がっていくと同時に、電信→鑽孔テープ(通信の記録の穴あき紙テープ)、電話→蓄音機、電気→蓄電池、写真→映画と、発明に蓄積や継続的利用の類似性を見ることができる。

エジソンはこのようにCIを拡げながら、彼自身の好奇心を拡げ、更に思考の集中を図った。エジソンは、毎日彼の研究所の大きな机に座り、ノートを拡げ、思考を集中した。彼は、毎日ノートに16枚ほどのスケッチを描いた。ノートがない時は、どこでも思いつくと紙きれに書き込んで、それをノートに写していた。

ノートの数は5000冊にもなり、現在のニュージャージー州のウェストオレンジにあるエジソン歴史博物館の地下金庫にすべて保存されている。私は2度、エジソンの研究所を訪問して、特別の許可をもらってノートを閲覧した。

偉人たちは、それぞれ独特のCIをもっている。アルベルト・アインシュタインは、中学生の時から、光の伝搬に関心を持っていた。42歳にノーベル賞を受賞している。

人は、誰もが自分のCを見つけて、それを追及しながらじっくりと拡大していくことで、人生の創造的好奇心を強めることができる。思考の集中力を高めることができるだろう。そして何よりも、CIの研究をしている時間は幸福な時間となる。

仮に学生時代に、何かの分野、何かの課題に特別の関心を持ったとすると、その分野、その課題に関しての古今東西、書物、論文を片っ端から読破し、その分野の勉強、その分野を研究するために必要な勉強を続ける。関係の講演はどんなに遠くても、聞きにいく。名の知れた先行研究者には会いにいき、必要とあれば指導を受け、自分の意見を論文に書き始める。

たとえ自分が選んだ仕事がその分野や課題にまったく関係がなくても、自分でも実験を始め、研究は続ける。その分野の同好会や研究会、学会には参加し、後には指導していく。それを数十年続けることだ。こうしてアインシュタインは、ノーベル賞を受賞した。

日本人は仕事人間だと言われるが、仕事だけに関心があり、現役時代を仕事だけに打ち込んでいて、仕事はさせられていると感じていて、退職した後、のんびりするのだと思うと、実際には大きな虚脱感を覚えることがある。

自分の仕事と並行して、自分のCIを創り、数十年、そのCⅠに関係したことを研究して過ごすと、仕事が変わっても、退職しても、その人の人生はまったく変わらないどころか、更に大きな意義を感じて研究に励むことができると考える。これはアイデアマラソン哲学の基本のコンセプトである。

CⅠに近いのがスポーツ、そして趣味の世界である。現役時代から何か、打ち込めるものを作っておくことは、人生にとって重要である。

私のCIは、アイデアマラソンを使って、人間の創造的能力を最大限向上開発させることである。2004年に定年退職するまでも、自分で研究を続けてきたし、定年退職後は、専門の研究所を造り、大学で教え、大学院に入学して、自分のCIを拡げ、深く掘ってきたつもりである。

考えるヒント

(1)あなたの創造的関心分野は何か?この分野は私の分野だと言えること

(2)今まで考えたことが無ければ、新たに考えてみよう。

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