考えるヒント アイデアマラソン哲学 21 脳のノートとの緊急時連携効果

すでに500冊を超えた私のノート。49万6000件の発想を書き続けてきた。

開始直後から書いた発想を見直せば、さらに発想を出すことができることが分かった。これは発想が発想を生むわけで「発想の再生産」と呼んでいた。

 ノートは250頁まで書くと、次のノートにしてきた。ノートが5冊程度なら1分もあれば、ペラペラと見直すことが可能だ。20冊程度なら、30分程度で頁を見直す程度はできる。ここ数年は良い発想が(出たと自分で判断すると)それに特別のシールを貼ったり、赤ペンでグルグル印をつけることもある。

 ところが数百冊にもなると、とてもノートを見直すことができなくなる。ここで手書きノートのデジタル化の必要性を思い出す。デジタル化ができていたとしたら、多分発想を分類して、その分類の1つずつ、私はパンフレットにするか、画面で次々と読んでいくだろう。発想の再生産を試みるために。

 20年ほど前に気がついたのは、会議や人と打ち合わせをしている時に、急にある種の課題が与えられると、私の脳は、今までにノートに書いたもの、描いたものをサーチし始めるのを感じた。当時、300冊を超えていたと思うが、脳は今まで書いたものを一気に引き寄せるような体験をし始めたのだ。

 そして、会議や様々な企業や研究所での研修で、私は自分の脳が研究所に置いているノート群と見えない絆かネットワークを持っていると感じるようになった。世界中のどこに私がいても、この現象を感じることができた。ノートとつながっているのだ。つながりができているのだ。

 思いついたら、パソコンにデジタルデータで書き入れることと違って、自分の目で見ながら指先がノートに思い付きを書き入れていく時、知らないうちに私たちの脳には、発想の尻尾が残り、増えてきているのではないかと、真剣に思い始めた。私の書いてきた膨大なありとあらゆるものを、正確に引き出すのではなく、それらの中から思い出せるものを、それでもかなりの数だが、次々にどんどん出してくるのを感じたのだ。

 これも軽いエスパーの能力の一種になるのではないか。脳が数百冊のノートと、ワイヤレスでつながっているように思うのだ。あるいは私の頭が変になったのかもしれない。あるいは、書き留め続けたことで、脳がオプション機能を開放したのかもしれない。この能力を、脳のノートとの緊急時連携効果(Emergency Wireless Coordination between Brain and Notebooks)と名付けた。緊急時だけでもない。何か急いでいる時、焦っている時すべて、私たちの脳は、“緊急対応”としてくる。

 緊急時はいつでも生じる。危険な緊急時もあるし、頼まれて急ぎ解決策を練ることも緊急かもしれない。私達の脳を更に進化させるきっかけを作るのかもしれない。

 私の博士論文の研究も、人生を豊かにするための工夫も、アイデアマラソン研究所の仕事を増やすための工夫も、すべて私は自分の脳に緊急相談してきている。私はすべて手書きのノートだった。それがこの現象を作っていると信じている。

 数百冊の自分の発想のノートを書いてみれば、誰でもこの不思議な現象を体験することができるのだろうと思っている。いかが?

考えるヒント

 今まで、このページを読むまでにノートに書いた発想群を見直して、さらに発想を創り出せ。

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考えるヒント アイデアマラソン哲学 21 脳のノートとの緊急時連携効果」への1件のフィードバック

  1. 塾長 返信

    まだ始めて4ヶ月。
    それでも読み直すと面白いアイデアがあります。
    のちの自分へのプレゼントとしては最高ですね。

    不思議な体験を感じるようになってみたいものです。

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