温暖化現象もあって、集中豪雨と線状降水帯が各地の河川で洪水を発生させています。数年間に洪水が発生した箇所は、今後もっと頻繁に洪水が発生する可能性が高いと思われます。数十年に一度と思われていた河川の増水による洪水は、今後頻繁に全国で発生する可能性があります。
洪水が発生した場所で、住宅を再建しても、次の集中豪雨が襲うこともあります。このような破壊⇒再建⇒破壊という「いたちごっこ」は、日本全国規模を考えると、国力と個人の資産を疲弊させていきます。
今までは洪水が起こった後の取りうる手段としては、
- 洪水が発生した場所には再建しない(他の高いところに再建し、洪水が発生した不動産は放置するか、売却する)
- 洪水が発生した場所に、あえて再建する。
洪水が発生した場所を放置する場合も、売却する場合も、その不動産の価値は大きく下がってしまうことは当然です。通常時の河川の穏やかな流れを愛し、その生活を放棄してしまうことは、長年生活してきた人には相当つらいことだと思います。
元梓設計の阿部寧氏は、今後の洪水対策は「耐洪水ピロティ式の集合住宅」が決め手であると説明されています。
図1は、まず正常時の河川と耐洪水ピロティ式集合住宅の様子です

図2は、洪水時の耐洪水ピロティ集合住宅と駐車の状態

1.「耐洪水ピロティ式の集合住宅」とは、増水による洪水発生時に、ハザードマップ上で4メートル高の洪水発生の可能性が示されているとすれば、この住宅では高床として4メートル+αの高さまでの洪水は建物の足高の下部を通り抜け、上部の集合住宅は安全に保たれる。
2.電力、水、ガスは安全高度にて供給される。
3.建物は集合住宅とする。
4.自治体は、ハザードマップ上で4メートル高の洪水発生の可能性が示されているとすれば、4メートル+αの高さのピロティ式の道路を建設する。その道路から建物に接続した場所に、駐車場を設ける。洪水のたび毎に自動車が水没して使えなくなることは、住宅の水没に次いで本人にダメージが大きい。
5.各集合住宅の河川側上流のコーナーに、流木、瓦礫などが建物や柱に当たらないようにする。
耐洪水ピロティ集合住宅普及研究会
事務局 アイデアマラソン研究所
樋口健夫 博士
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上記 耐洪水ピロティ集合住宅のスケッチは、阿部寧氏の作成したものです。
いま、今年、去年の洪水に遭われた方々、家の再建の前に、ぜひとも、阿部寧氏の著書「階上都市」(三和書房)をご一読ください。