私の友人に、技術評論社という出版社の元編集長だった西村さん(実名)がいる。
私が翻訳した「感動する科学体験100」を出版したり、「アイデアマラソン式の手帖」をつくったりした。その西村氏とは、コロナもあって、しばらく連絡を取っていなかったら、彼に大変なことが起こっていた。
まず脳腫瘍で大手術、そして後遺症として重大な障害が残り右半身が十分使えなくなった。会社も辞め、さらにきついことに離婚もされたという。この状態になったら、自分ならどうするだろう。
西村氏は左手を使い本を書いた。「通りすがりの僕という障害者」をペンネーム北野一樹著(上下)で、アマゾンキンドルで出版した。この本は、ペーパー版にして上下で発売されている。
体の自由を失い
仕事を失い
家族と別れ
この状態で書かれた本を読んで驚いた。そこには暗いことは一切なかった。この状況の中で、力強く前向きに生きることを軽妙に書いている。西村氏は元編集長であったことから、彼の元には様々な執筆者が集まっていた。素晴らしい聞き手だった。その西村氏が書いた本、
通りすがりの僕という障害者 上巻 ペーパーバック
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直木賞レベルの独特の筆致。この本を読んで感動して、私は思わず西村氏に電話した。この状態でも、彼は何かを実行実現しようとしている。彼は傷ついたライオンのようで、足を不自由にしているが、その中でまだ何かをしようとしているのを感じた。
障害を受けたことを逆手に取っているところ、また障害を受けている仲間との連携を今後は考えているようだ。誰にでも起こりうる災難を乗り越えるこの本は、次に書かれる本の予備に違いない。楽しみにしている。
ぜひともご一読されることをお勧めします。友人だから薦めるよりも、近い将来文壇で上っていくパワフルな著者を紹介しておきたいと思った。